2024年4月18日木曜日

AIに奪われる仕事、奪われない仕事

 少し前にAIに奪われる雇用の割合は日本がアジア圏で一番といった調査機関の報告がニュースに出ていました。

事務的な仕事が多いためだそうです。

また、他の調査では労働人口の半分近くがAIで代替されるといったものもありました。

そういうわけでAIと仕事について少し考えてみました。

AIを業務に適用する、あるいはロボットを導入するといった場合、初期投資が必要となります。

現在、ChatGPTのような生成型AIがかなり安く利用できるようになっていますが、汎用のAIが使える用途はかなり限定的、例えばチャットによる顧客サポートだと汎用AIが回答できるのはごく一般的な内容に限定され、自社製品に関する質問に答えられるようにするには新製品が出るごとに製品に関連した質問と回答をAIに学習させる必要が発生します。

こういった投資が効果に見合わない場合にはAIを導入せず人で対応することになるだろうと思われます。

実際、工場などのビデオを見ると製品の箱詰めなど一見単純な作業が機械化されずに人手で行われていますので、同様に人件費を抑えられる業務においてはAIでの代替は難しいだろうと考えています。

また、AIは責任を負えないという問題があります。

生成型AIを使用したコーディングが少しずつ行われているようですが、AIの生成したコードは必ずしも完全とは言えませんし、AIに対する指示が不適切であれば不適切なコードしか出力されません。

ということを考えるとコーディングにAIを使用したとしてもレビューは必要ですし、AIが生成したコードに問題があった場合には人が対応せざるを得ません。

こう考えると生成型AIがプログラマを代替できるとしても限定的にならざるを得ないと思います。

同様のことは営業提案など何らかの成果物を提供する仕事すべてに共通するものと思われますので、ホワイトカラー業務のAIによる代替率は期待ほどにはならないかもしれません。

そしてもう一つ、AIは役に立たない仕事はできないということです。

ホワイトカラー生産性に関して役に立たない仕事の存在が問題として取り上げられています。

仕事自体に意味のない仕事の存在理由を考えると、自分がその仕事をしている、あるいは誰かにその仕事をさせているということ自体に意義を見出しているということに帰着しますので、AIにやらせる理由も必然性もありません。

まあ、AIに意味のない仕事をやらせるための段取りという仕事を作り出すというのはあるでしょうけど。

ということでAIが実業務に入ってきても本格的になくなるのはAIを適用するだけの投資価値がある業務だけで、それ以外の業務ではAIの導入で負荷の少なくなる仕事はあってもその代わりに意味のない仕事が増えるだけになるような気がします。

ホワイトカラーの生産性向上を本気で図るのであればAIの導入以前にやることがたくさんありそうです。


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